REPORT

第6回 2月20日 (土)
「首都直下地震 Part2 〜災害につよいまちへ〜」 開催レポート

開催レポート

■「災害に強いまち」はいかにしてデザインされるか。

大きな災害はいつ発生するかわかりません。防災を特別なことにせず、日常的に防災を考える・学ぶために、渋谷区では2018年から「渋谷防災キャラバン」を開催しています。新型コロナウイルスの感染拡大が広がる2020年度は「渋谷防災キャラバン」をオンライン開催。1時間半のオンラインイベントにまとめ、いつでもどこでも防災が学べる環境を整えました。

2月20日(土)に配信した渋谷防災キャラバンオンライン第6回目のテーマは「首都直下地震」です。今後30年以内に70%の確率で起こると予測されているマグニチュード7クラスの大地震に対して、私たちはどんな備えをしておくべきなのか。なるべく丁寧に伝えようと、前半・後半に分け2ヶ月回に渡ってお届けしました。

後半の2月は「災害に強いまちへ」について。ゲストは、 防災とまちづくりを研究する東京都立大学 都市環境学部 都市政策科学科 教授の市古太郎さんです。

また2020年末に収録した、長谷部健渋谷区長とLOVE FOR NIPPON 代表 CANDLE JUNEさん、渋谷区危機管理対策監の吉見隆さんによる「渋谷防災キャラバン・スペシャルトーク」の模様も放送しました。

■災害時だけでなく、日常のことも考えたまちづくり・コミュニティ

渋谷区では、毎年1月17日、阪神淡路大震災が発生した日を「防災点検の日」と定めています。防災関係機関、企業、施設、そして区民のみなさんに、防災の備えができているか、備蓄は十分か、などの点検をしてもらう日です。

避難所一斉点検では、防災に関わる地域の人々が一斉に集まることで、コミュニティに属するさまざまな人と繋がりができます。

「高齢者、子育て世代など、年齢が異なる人々のコミュニケーションが進むことは防災だけでなく、まちづくりにおいても大切なポイントです」(市古さん)

「防災点検の日」に関連する取り組みのひとつに「被災建築物応急危険度判定」の拠点施設点検があります。

被災建築物応急危険度判定とは、震災後の建物の安全性を判定するもの。大地震のあとの余震で二次被害を出さないように、建物の使用の可否を決めていきます。渋谷区にお住まいのあなたのご自宅にも判定員が伺うことになります。

さらに、渋谷区では「都市計画・まちづくり」の観点から防災を考え「燃え広がらない・燃えないまち」を目指した木密整備事業を実施しています。

「木密地域」とは、木造住宅密集地域を示すことば。木造住宅が密集している渋谷区の本町地区では、主要生活道路の拡幅や、空地の確保、耐火構造への建て替え費用助成などはもちろん、地域のみなさんと「本町地区防災都市づくりグランドデザイン」をスタート。住民の皆さんと防災性の向上や今ある魅力を生かしたまちづくりに取り組んでいます。市古先生はこのグランドデザイン検討会の副座長もつとめています。

「この取り組みでは、防災性能の向上をきっかけに、日常的な地域の使いやすさも同時に改善していくことを目指しています。道路の拡幅は延焼を防ぐ意味合いはもちろん、地域で声を掛け合えるまちづくりにつなげたい。商店街に沿った空地は災害時の集合場所、安否確認をするために重要なスペースですが、日常では座ってコーヒーを飲んだり、子どもたちが遊んだりするスペースにもなります。家の建て替えにおいても、土地の区画を整理したり、小さい土地をつなげて一緒に防災に強い建物にしたりといった提案をしています。道と広場と家、これをより良くしていくことが大切です」(市古さん)

これに関連して渋谷区では昨年、「シブヤホンマチPLACEMAKING」を実施。これは住民参加型の新しい取り組みで、区の職員が町を練り歩きながら、地域の人々の声をお聞きしました。地域の防災訓練に参加できない親子連れなどともコミュニケーションを取りながら、地域のみなさんに防災について考えてもらう機会を提供しています。

■助けが来る前に、自助・共助でできること

代々木公園では、毎年9月に総合防災訓練を実施しています。これには、渋谷区や区民だけでなく、東京都水道局、消防、自衛隊なども参加し、さまざまな機関が連携して開催されています。

実は代々木公園は、渋谷区の防災を語る上では欠かせない場所です。区民も帰宅困難者も利用できる災害時の避難所であり、陸上競技場はヘリポートになります。園内のトイレは災害時にも使えますし、屋根や壁面にシートを設置すること仮の避難施設になる「防災パーゴラ」もあります。この下にあるベンチは、かまどとしても利用可能です。

総合防災訓練に参加する各機関でも日頃から防災への取り組みを重ねています。

東京都水道局では、被害の想定を行い、その予防対策として貯水池の堤体強化、自家用発電機の新設・増設、配水管や避難所への給水管の耐震化などを実施。それでも災害時には、断水の発生や復旧に時間がかかることが予想されるため、独自の防災訓練も実施して備えています。

消防署の取り組みもご紹介します。東京地方に震度5弱以上の地震が発生した場合、消防職員は消防署に収集される計画となっています。渋谷消防署では、ポンプ車12台、救急車9台、職員約300人が、11個の分団で構成される約400名の消防団員とともに災害時の対応をしていきます。

自衛隊も災害支援の重要なプレイヤーです。首都直下型地震が起きた場合、自衛隊が最初に実施するのは、情報収集と人命救助。陸海空の自衛隊が連携し、渋谷区や消防と連携しながら活動します。

「このように、さまざまな機関が人命救助やインフラの確保に向けて、全力で動いてくれます。しかし、彼らが駆けつけるまでには時間がかかる。 迅速な初期消火、人命救助、人が埋まっている可能性のある場所の情報提供など、迅速な支援のために私たちにもできることがあるはずです」(市古さん)

自分でできる断水への備えとして、渋谷区にある3箇所(近隣の区にもある)の災害時給水ステーションの場所を確認すること、平常時から水の汲み置きをしておくことが大切です。また、自宅の家具類の転倒や落下、移動防止対策もしておきましょう。

「公助」がやってくるまでにはどうしても時間がかかります。大きな災害が発生した時には、まず私たち自身にできる「自助」「共助」に取り組むことが、その後の被害を大きく変えます。

■あれから10年。あらためて今考える、大切なこと

プログラムの最後には、2020年末に収録した長谷部健渋谷区長とLOVE FOR NIPPON 代表 CANDLE JUNEさん、自衛隊で東日本大震災の被災地での活動を歴て渋谷区危機管理対策監になった吉見隆さんによる「渋谷防災キャラバン・スペシャルトーク」の模様を放送。

もうすぐ3.11から10年が経ちます。これからの渋谷区の防災ではどんなことが大切になるでしょうか。3人はそれぞれの思いを語りました。

「去年の春は、マスクがなくて大変な思いをした人が多いと思います。いざというときに必要なものは、日頃から用意をしておかなくてはならないことを実感したはずです。防災に関しても同じように考えて、事前に準備をしておきましょう」(吉見さん)

「さまざまな被災地域をまわりましたが、行政によって防災対策はばらつきがあります。最初の備えはもちろんですが、そこのコミュニティのトップがどういった人かが重要だと感じました。バイタリティがあってコミュニケーション能力が高い人がトップであれば、臨機応変に問題が解決されていく。

これから大事なのは、もっと小さな地域のコミュニティ。地域で助け合える連携がとれるようになるといいですよね。渋谷は大都市ですが、お祭り文化も根強く残っています。都市型でもあり、ローカルでもある、防災都市のロールモデルになりうると思います」(CANDLE JUNEさん)

「『防災について意識を持ってください』と呼びかけても、なかなか行動にはつながらない。たくさんのきっかけをつくっていくことが渋谷区の取り組むべきことだと思います。簡単には予想できないことを粘り強く想定して、防災を追求していく必要がありますね。ぜひたくさんの人に協力していただき、防災を考えていきたいですね」(長谷部渋谷区長)


渋谷防災キャラバンオンラインは、今回で一区切りとなります。

3月はこれまでの集大成集大成として、3.11特別企画を実施します。

「渋谷防災キャラバンJ-WAVEスペシャルプログラム」では、ゲストにGAKU-MCさん、ゴスペラーズの北山陽一さん、長谷部健 渋谷区長、MCにJ-WAVEナビゲーターのサッシャさんが出演。3.11からの10年を振り返り、これからの防災について、豪華ゲストと共に考えるスペシャルトークムービーを、3月11日(木)13:00に渋谷防災キャラバンYouTubeチャンネルで公開します。

さらに、渋谷区役所では、3月8日(月)から12日(金)まで「渋谷防災キャラバン 展示プログラム」を開催。これまでの配信でお届けしてきた内容をもとに、ダイジェスト動画の上映のほか、イラストでわかりやすく解説したパネル展示も行います。イラストで知って、動画で学べる、新たな渋谷の防災の取り組みをご紹介しますので、こちらもお見逃しなく。

ぜひWEBサイトや各SNSをフォローして情報をキャッチアップしてください。

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