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開催レポート

第4回 11月14日 (土) 「防災×テクノロジー」 開催レポート

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■ 情報を知る。疑似体験する。防災を身近にするテクノロジー。

大きな災害はいつ発生するかわかりません。防災を特別なことにせず、日常的に防災を考える・学ぶために、渋谷区では2018年から「渋谷防災キャラバン」を開催しています。新型コロナウイルスの感染拡大が広がる2020年は「渋谷防災キャラバン」をオンライン開催。2時間のオンラインイベントにまとめ、いつでもどこでも防災が学べる環境を整えました。

11月14日(土)に配信した渋谷防災キャラバンオンライン、第4回目のテーマは「防災×テクノロジー」です。

災害の被害を最小限に食い止めるために行政が導入している最新技術。災害を疑似体験し、いざというときに人々が身を守ることを手助けするアプリやVR。防災にテクノロジーがどう活かされていて、どう私たちの役に立つか。いくつかの事例を実際に見せながら配信しました。後半では「被災地の声を聞こう」と題し、東日本大震災の被災地、岩手県釜石市と中継をつなぎ、貴重なお話を聞きました。

■ より正確に。より早く。よりリアルに。

2019年1月に建て替えられた渋谷区役所。災害時には防災拠点となる新庁舎は、区政の中枢を担うため、災害時であったとしても機能を停止させるわけにはいきません。そのため、高い耐震性能やたくさんの最新設備を兼ね備えています。

庁舎の心臓部とも言える電源は、複数の供給手段を導入しています。東京ガスの「ガスコージェネレーションシステム」は、都市ガスから電気と熱をその場でつくりだすことができる災害時に強いシステムです。耐震性の高い「中圧ガス導管」からガスの供給を受けているため、地震があってもガス供給は基本的にストップしません。停電しても、非常用発電機の燃料がなくなっても、電気を得る方法を確保することができるわけです。このシステムは日常から使われているので「いざというときに立ち上げたら動かない!」といったトラブルに見舞われる心配もありません。

また防災対策本部室には、108インチの巨大モニターが設置されています。ここには、東京ガスエンジニアリングソリューションズが提供する防災情報システムにより一元管理された、区内の状況が映し出されます。防災情報システムは地理情報と紐付いており、地図上に被害状況が整理されています。他の部署からの報告や指示・連絡などは文字情報として表示されています。ビジュアルや文字をつかって、災害時のたくさんの情報を俯瞰して把握できるのがこのシステムの特徴です。アプリやポータルサイトと連動しているので、区民の人々にも情報を適切に提供できます。

区民の人々への情報伝達にも、さまざまな技術が生かされています。テレビのリモコンのDボタンを押せば見れるNHKのデータ放送では、日頃から気象情報や防災情報を観ることができます。ただし、初期設定として郵便番号を入力する必要があるので注意してください。また渋谷区はYahoo! JAPANとも提供し、適切に情報提供する仕組みをつくっています。

大事なことは、電源と同じく、情報の供給先も複数の手段を用意すること。インターネットだけでなく、テレビやラジオなど、さまざまな手段を通じて、情報を取得するようにしましょう。

他にも、セコムトラストシステムズの安否確認サービス、ニッタンの屋内位置情報システムなど、さまざまな民間企業の技術やサービスをご紹介しました。

配信では、ARやVRなどを活用することで、どのくらいリアルな災害想定ができるかも紹介しました。ゴーグルやスマートフォンをつかえば、あたかも今自分が災害に遭遇しているような体験を得ることができます。

地震のとき、家具はどのくらい激しく動くのか。水害のとき、今いる場所はどのくらいの水位になるのか。いざというときにどんな状況が待っているかを疑似体験し、より現実的なイメージをふくらませ、防災に活かしましょう。

災害時に身を守るツール・要素はさまざまです。地域のつながり、日常の避難訓練、事前の情報収集、最新技術。あらゆるツールを使って、どうしても他人事になりがちな災害を、自分事にしていくことが大切です。

■ 外からバキバキと音がする。それは津波が家を飲み込む音だった

配信の後半でご登場いただいたのは、釜石市で東日本大震災を経験した川原康信さんと林明さんのおふたりです。川原さんは現在、NPO法人@リアスNPOサポートセンター事務局長、林明さんは、ちば内科診療所看護師長を務めています。

釜石市では、巨大津波が防波堤を倒壊し、市の中心部にまで到達。1000人を超える死者・行方不明者が出るという大きな被害を受けました。

川原さんは、地震発生後に奥さまの職場である保育園に向かい、子どもたちや近所の人と一緒に高台へ避難しました。津波が到達するまで地震が起きてから40~50分のタイムラグがあったそうです。高台に避難したものの、忘れ物や家の戸締まりが気になり家に戻ってしまった人は津波にさらわれ亡くなってしまったといいます。

「私の知り合いも家に戻って亡くなりました。周りの人も声をかけてとめたのですが…。あのとき腕を掴んででも止めていればと後悔もあります」(川原さん)

地震直後、病院はパニック状態。そのとき林さんは、外から「バキバキ」という音を聞いていたそうです。

「それは、津波が家を巻き込み壊している音だったんです。慌てて外を見ると、海からも川からも津波が押し寄せていました。それらの津波がぶつかり合いまるで映画を見ているかのような光景でした」(林さん)

まだ雪も降る釜石の3月。電源も、ボイラーも破壊され、医療機器も暖房は使えません。患者さんを守るために必死に動き回った林さんは「とても長い1日だった」とあの日を振り返りました。

震災後、川原さんはNPOを設立し、大震災の経験を伝える活動を続けてきました。被災地の復興支援に目を向ける人が少しでも増えるように、少しでも長く支援してくれるようにという思いを持っていましたが、最近は少し変わってきているそうです。

「災害は、全国各地で発生しています。災害が起きたとき、一刻も早く避難して命を守る。それが何よりも大事だということ伝えたいという思いが強くなってきています」(川原さん)

林さんに渋谷区にいる人たちが気に留めておくべきことを聞いたところ、こう答えてくれました。

「災害はいつ起きるかわかりません。さまざまな情報ツールをつかって、きちんと情報収集をすること。少しでも早く復興できるよう、地域で協力しあえるつながりをつくることが大事だと思います」(林さん)

東日本大震災からもうすぐ10年になります。あなたはあのとき、どこにいましたか。今、なにを思いますか。

次回の配信のテーマは「首都直下地震」です。Part1を1/23、Part2を2/20に配信予定です。詳細は後日お知らせしますので、ぜひWEBサイトや各SNSをフォローして情報をキャッチアップしてください。

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