レポート
Vol.8[千駄ヶ谷地区]
「言葉の壁を越えよう!『防災と多文化共生』」
言語を超えた助け合いのために。防災と多文化共生の事例を千駄ヶ谷地区から学ぶ
ビジネスでもレジャーでも、多くの人が集う渋谷。しかし、人が多いがゆえ、災害時の課題が多いのも事実です。「渋谷」と言っても、再開発が進む渋谷駅周辺もあれば、緑豊かな公園も、昔からの生活が残る住宅地もあります。それぞれのエリアで防災のポイントは違うのです。
2021年度の渋谷防災キャラバンは「“地域防災” を考えよう」をテーマにYouTube動画を配信します。動画では、渋谷区内11地区それぞれの防災における“特性”を、現地取材やキーマンへのインタビューを通じて紹介。地域に根ざした情報をお届けします。
動画コンテンツのvol.8は「千駄ヶ谷地区 言葉の壁を越えよう、防災と多文化共生」。旅行者だけでなく、留学や仕事などを理由に、日本にはさまざな言語を話す人々が住んでいます。グローバル都市である渋谷では、言語や価値観を超えた防災にも取り組んでいます。今回の動画で、言葉の壁を超えて助け合うためのイメージを膨らませましょう。
東日本大震災の教訓を活かした多言語化
久々に寒い雨の日となった取材当日でしたが、快くご対応いただいたのは、千駄ヶ谷大通り商店街振興組合の理事を務める岡崎千治さん。街のシンボルの一つである鳩森八幡神社や、地域の防災拠点を回りながらお話を聞きました。
1ブロック歩く度に「ここは昔…」「ここにあるのは…」と、2つも3つもエピソードが飛び出すほどの千駄ヶ谷愛に、取材チームもただただ驚くばかり。千駄ヶ谷の歴史・文化を知ることで、新しい渋谷の再発見にもなりました。
そんな岡崎さんだからこそ、地域の防災についても積極的。東日本大震災のときにも、地域の人々のために奔走しました。そこで課題になったのが、日本語が通じない外国人への対応でした。
渋谷区では、東日本大震災の教訓を活かし、地図看板の英語併記や、55言語以上で翻訳が可能な音声翻訳機器の配備などが進められています。
学生と地域が連携して進めるおもてなし×防災
千駄ヶ谷地区では、防災と多文化共生を進めるために、津田塾大学にも協力してもらっています。
取材させていただいたのは、総合政策学部 総合政策学科の曽根原登教授と、教授が手がける梅五輪プロジェクトのメンバー総合政策学部3年の中澤あゆみさんと2年の丸岡莉子さん。
普段は、新型コロナウイルスの感染対策のため、オンラインとオフラインのハイブリットで授業を実施しているそうですが、今日は対面でお話を伺いました。
彼女らが手掛けているのは、英語を使った案内マップやマナーパンフレット、アプリの制作など。パンフレットには浮世絵のイラストを取り入れるなど、和文化の発信にも力を入れています。また、千駄ヶ谷大通り商店会と連携した来街者の計測など、データに基づいた地域の活性化にも取り組んでいるそうです。
インバウンドが復活すれば、渋谷にはさまざまな背景を持つ人が集うようになるはず。今回の取材を通じて、身近なものの多言語化が、いざという時にも活きてくるということが実感できました。
防災豆知識:常に持っておきたい「SHIBUYA OK!?MAP」
「ちょっと外国語には自信がなくて…」という方にこそ、ぜひ携帯してほしいのが、災害時に外国人との共助に役立つ防災アイテム「SHIBUYA OK!?MAP」です。
日本語、英語のほか、中国語(簡体・繁体)、韓国語の5か国語版が用意し、地震発生時のアクションリストや、災害時でも使えるWi-Fi、渋谷区の防災情報ツールなどを掲載しています。イラストも多く、指をさすだけで必要なコミュニケーションが取れるような工夫も。
渋谷区の施設だけでなく、区内のさまざまな商業施設や駅でも配布している他、オンラインでダウンロードも可能です。
災害はいつ起きるかわかりません。日頃から少しずつ防災を意識し、災害に備えましょう。
次回もお楽しみに!