レポート
Vol.6[大向地区]
「もしも『帰宅困難者』になってしまったら」
渋谷駅前、道玄坂などを有する大向地区。
人が集まる場所だからこそ気をつけたいポイント
ビジネスでもレジャーでも、多くの人が集う渋谷。しかし、人が多いがゆえ、災害時の課題が多いのも事実です。「渋谷」と言っても、再開発が進む渋谷駅周辺もあれば、緑豊かな公園も、昔からの生活が残る住宅地もあります。それぞれのエリアで防災のポイントは違うのです。
2021年度の渋谷防災キャラバンは「“地域防災” を考えよう」をテーマにYouTube動画を配信します。動画では、渋谷区内11地区それぞれの防災における“特性”を、現地取材やキーマンへのインタビューを通じて紹介。地域に根ざした情報をお届けします。
動画コンテンツのvol.6は「大向地区 もしも『帰宅困難者』になってしまったら」。東日本大震災でも大きな問題になった帰宅困難者。災害時に大きな混乱を避けるには、地域の人々だけでなく、街を訪れている人々も知っておくべきことがあります。
地域住民と来街者の接点のための盆踊り
澄み切った空が気持ちのいい秋晴れの日となった取材当日。道玄坂の活気もずいぶんと戻ってきたように感じます。
取材チームが最初に向かったのは、道玄坂の顔である109の前。ここでは年に一度「渋谷盆踊り」通称「しぶぼん」が開催されています。道路を歩行者天国にして、109の前にやぐらを建てるお祭りで、街の人と来街者との接点をつくることを目的としています。
渋谷道玄坂青年会副会長で渋谷盆踊り企画サブリーダーの大西陽介さんによれば、実施前は「安全なイベントになるのか」と心配の声もあったそう。しかし、実際は偶然訪れた若者に渋谷在住の高齢者が踊り方を教える場面なども見られ、住民と来街者の接点づくりという本来の目的を果たすアットホームなイベントになったと言います。
こうした大量に人が集まるイベントは、図らずとも災害時の疑似状態にもなります。災害時、街中に大勢の人が密集すると、どんな危険が起こるのか。こうした想像だけでも、防災の一歩につながります。
刻々と変わる渋谷駅前。再開発は防災対策にも貢献
続いて向かったのは、渋谷駅前にあるビル「渋谷フクラス」です。渋谷区では東日本大震災の教訓を受けて、帰宅困難者受入施設の整備が進んでいます。フクラスもそのひとつ。実際にどのように帰宅困難者が受入れられていくのかを取材してきました。
同行いただいたのは、フクラスを運営する東急プラザ渋谷の松谷友里香さん。一般の人は見ることができない施設の裏側を案内していただきました。
フクラスの屋上からは、再開発が進む渋谷駅周辺を一望できます。この再開発は渋谷の防災とも深く関係しているそう。変わっていくことで災害に強くなっていく渋谷の街に思いを馳せながら、取材を終えました。
防災豆知識:渋谷駅で大地震に遭遇したら…ポイントはふたつ
今回の防災豆知識では、渋谷に住んでいても遊びに来ていても、災害時に渋谷駅前にいたとしたら共通して気をつけたいポイントを2つご紹介しました。
1つは「むやみに帰宅しない」。帰宅しようとする人が駅前などに集中すると、集団転倒や、余震による建物倒壊、ガラス飛散などの二次被害の危険があるからです。また、人が道路をふさいでしまうと、救急車両の通行阻害も起こります。
2つめは「渋谷区防災ポータルサイト、渋谷区防災アプリをチェック」。これらには、渋谷区で災害にあったとき、どんな行動をとるべきか、どこに向かうべきかなどをまとめてあります。慌てずに情報を正確に確認しましょう
災害はいつ起きるかわかりません。日頃から少しずつ防災を意識し、災害に備えましょう。
次回もお楽しみに!
