渋谷防災キャラバン

レポート

渋谷のラジオ × 渋谷防災キャラバン 特別番組
「被災地の声を聞こう」

戦後最大の「都市型災害」阪神・淡路大震災から27年。いま、私たちが考えたいこと

ビジネスでもレジャーでも、多くの人が集う渋谷。しかし、人が多いがゆえ、災害時の課題が多いのも事実です。「渋谷」と言っても、再開発が進む渋谷駅周辺もあれば、緑豊かな公園も、昔からの生活が残る住宅地もあります。それぞれのエリアで防災のポイントは違うのです。

今回は1月17日に放送した「渋谷のラジオ × 渋谷防災キャラバン 特別番組 被災地の声を聞こう」のレポートをお送りします。いまから27年前、1995年1月17日に発生した、阪神・淡路大震災。戦後最大の「都市型災害」と言われ、火災や建物の倒壊によって、多くの方が犠牲になりました。その「記憶」と「記録」を紐解きながら、渋谷に生きる私たちが、いま出来ることを考えた番組です。

オンラインで出演いただいたのは、「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」センター長で、日本の減災・防災研究の第一人者である河田惠昭さん。長谷部健渋谷区長と、元自衛官で今は渋谷区危機管理対策監を勤めている斎藤兼一とともに、お話を聞きました。

戦後最大の都市型災害の衝撃

河田さんは、日本で唯一、防災分野のノーベル賞に相当するSASAKAWA防災賞を受賞した研究者です。長年、日本の減災・防災研究を牽引する情熱の源には、阪神淡路大震災の経験がありました。

当時、「都市災害」を研究していたのは、世界でも河田さんしかいませんでした。しかし「いくら研究していても、被害を少なくすることに寄与できなかった。研究していたのに人の命を救うために役に立てなかった」と話す河田さん。このことを機に「役立つ研究を」と減災のための防災研究に方針を変え、活動するようになったんだそうです。

戦後、日本で起きたことのなかった大都市での大災害。これを境に多くのことが変わりました。例えば、自衛隊の災害派遣。阪神淡路大震災では「自衛隊の災害派遣が遅い」という批判が巻き起こりました。当時は、知事の要請で自衛隊が動く仕組みでしたが、従来の連絡手段が途絶えて要請ができない事態が起こったのです。この反省から、今では、災害時は例外として、自衛隊が自主的に動くことが認められるようになりました。

また、延べ137万7,300人ものボランティアが全国から駆けつけ「ボランティア元年」と言う言葉を生んだことでも知られています。

災害には、自然由来と社会由来がある

大都市の防災で難しいポイントのひとつが、たくさんの人が集中していること。住民だけでなく、働いている人、遊びに来ている人、観光に来ている人、さまざまな人が集います。

河田さんは「人がたくさん集まっているだけで、危険性がある」と言います。災害というと地震、台風、大雪など自然由来のイメージが強いと思いますが、近年では社会的な要因にも気をつけなければなりません。例えば、大雨による洪水は自然災害ですが、洪水を受けた人々の「反応」が危険性を増幅させる可能性もあります。多くの人が集まる都市では、社会的要因が災害を大きくしてしまうのです。

長谷部区長も、近年の災害の特徴にデマや間違った情報が多いことを強調しました。行政として、正しい情報を把握し、適切に届けることにも力を入れていく必要があります。

それぞれの自助が、公助をより効果的に

防災には、自助・共助・公助が大事だと言われています。行政が担当する公助によって、すべての防災が賄えればそれに越したことはないですが、現実的には難しい。大事なことは、一人ひとりの自助が十分に発揮されるからこそ公助も最大限の効果を発揮できるということです。

「公助でしかできないこともあるし、自助でしかできないこともある」と河田さん。床上浸水の危険がある地域なら、大事なものは2階に配置するなど、日常の防災も自助のうち。自分でできることは、自分たちでやる。それが防災の基本なのです。

避難所も、地域コミュニティの共助によって運営されるもの。渋谷区には避難所が33箇所あり、そのうち半数以上で「避難所運営委員会」を地域の人々が組織して、日頃から防災訓練などを実施しています。残りの避難所でも、順次立ち上げていく予定です。

「在宅避難」も知っておきたいキーワード。倒壊などの危険のない自宅を避難のベースにして、水道・電気・食料など足りないインフラを避難所に頼るという考え方です。避難計画も、柔軟性を持って考えていきたいですね。

こういった防災に関する意識は、渋谷区防災アプリを活用したり、渋谷防災キャラバンで情報収集をすることでも高まります。ぜひ、行政が提供するツールや仕組みを日常的に活用して、自助に役立ててください。

もし被災したら、自分の状況を他人事にしない

阪神大震災をはじめさまざまな災害に遭遇するたびに、課題が生まれ改善がされてきました。しかし、まだ万全には程遠い状態です。東日本大震災では「避難しない」ことで多くの人が亡くなりました。仕事があるから…、防波堤があるから…。河田さんによれば、亡くなった約1万6000人のうち、90%の人は、適切な避難さえできていれば助かったそうです。

いくら日常で防災について考えていても、いざというときに「他人事」になってしまっては意味がないのです。長谷部区長も「対策にゴールはない」と、防災への備えに今後も力を注いでいく決意を表明しました。

災害はいつ起きるかわかりません。日頃から少しずつ防災を意識し、災害に備えましょう。
次回もお楽しみに!